愛知県知立市の耳鼻科 松井みみはなクリニック 〒472-0055 愛知県知立市鳥居1-12-13 電話番号 0566-81-8711

 中耳炎の治療法について

〜子供の中耳炎は、種類が2つ〜

A.急性中耳炎

A-1)急性中耳炎は、なぜ起こる?

急性中耳炎は、鼻やのどの炎症、いわゆる風邪症状を起こして、それに伴って鼻から耳に細菌が入って鼓膜の内側(中耳)に膿(うみ)が溜まり、鼓膜が膨張する。溜まった膿によって鼓膜が内側から押されるために、痛みを感じ、場合によっては、発熱する、これが、急性中耳炎の主な成因です。

熱が出たら、小児科とは限らない! 子供さんの発熱の原因に、中耳炎があることを忘れるな!

A-2)治療法

 鼓膜の腫れや熱があまりひどくない場合には、抗生物質(細菌を殺す薬)だけで治ってしまうこともありますが、熱があって、鼓膜が腫れている場合には、鼓膜に小さな穴をあけて膿を出すと、熱がすぐに下がってしまうことがしばしばあります。鼓膜は切開しても、普通はすぐにふさがってしまいますので、大丈夫です。急性の中耳炎で、他に合併症がない場合には、普通は、1週間〜10日くらいで完治しますが、特に5歳以下のお子さんは、鼻をうまくかめないので、折角膿を出しても、またすぐに細菌が鼻から耳に入ってしまいますので、中耳炎を繰り返すことがよくあります。そうなると、何回も鼓膜を切開しては、膿を出し、また鼓膜がふさがっては、切開する、これを繰り返すことになって、治療に苦労することもあります。そうなると、鼓膜もだんだん薄くなって、切開した鼓膜がふさがらなくなってしまうこともあります。鼻が出るだけだから、と侮ってはいけません。

 B.滲出性中耳炎

-1)滲出性中耳炎は、なぜ起こる?

これは、中耳(鼓膜の内側)に液が溜まる状態の中耳炎です。今のところ、はっきりした原因は不明ですが、1つには、耳管の機能が不充分だからではないか、と言われています。耳管というのは、鼻から耳に通じている通り道のことです。耳管の機能というのは、鼓膜の外の気圧と中の気圧を調節する役目を担っていますので、これがうまく働かないと、耳の中が陰圧になって、体液の水分が鼓膜の中へ出てくるのではないか、と考えられています。この状態は、聴力が落ちますが、痛みは殆どありません。聴力は、普通の人と比べて12割しか落ちません。ちょうど、高い山に登った時に、閉塞感を感じるのと同じ状態が、延々と続くことになります。こういう時に、大あくびをしたり、唾を飲み込んだりすると、閉塞感がなくなることがあるでしょう。これは、鼻から耳管を通った空気が耳に抜けて、へこんだ(あるいは膨らんだ)鼓膜が元に戻ったのです。この状態は、子供さんは自分では何も言わないか、言ったとしても“耳が変だ”という程度です。従って、日頃、大人が子供さんの行動を注意して見ていないと、しばしば見落とされがちです。 

痛くないから、中耳炎じゃないとは限らない!むしろ、痛くない中耳炎の方が厄介である!

-2)滲出性中耳炎に早く気付いてあげられるには?

 少なくとも、両側滲出性中耳炎なら、呼んでも返事をしない、とか、なんとなくボーっとしているように見える、と親御さんが気付くこともあるのですが、片方だけの滲出性中耳炎は、極めて見逃されやすいのが現状です。いちばん手軽な聴力検査は、テレビにイヤホーンをつないで、聞き取れるギリギリの音を測ってみることです。あとは、テレビを見ていて、本人だけ、だんだん前の方に行ってしまう、とか、時々、耳を気にするしぐさをする、などが、滲出性中耳炎早期発見の決め手になります。

  オヤッと思ったら、耳鼻科へ!

-3)治療法

 上記の説明からもお分かりの通り、治療は、鼓膜の中に液が溜まらないようにしてやれば良いわけですから、

1)あくびや唾を飲む、などして、なるべく、鼓膜の中に新鮮な空気を入れてやる。
2)鼓膜に穴をあけて、中の液を出す。
それでも鼓膜はすぐにふさがって、液が溜まっては切開、また鼓膜がふさがって、また液が溜まって、また切開の繰り返し・・・。こんな時は、切開した鼓膜に、小さな土管(チューブ)を差し込んでやります。滲出性中耳炎は、往々にして、治療が長引きます。長い人は、数年間、耳鼻科に通い続けなければなりません。チューブを入れると、それ以降、滲出性中耳炎とは縁がなくなってしまう患者さんも多数見られます。チューブは、一般的には、1年程度、入れたままにして様子を見ますが、安定していれば、通院は、1か月に1回程度です。最近は、チューブが入っていても、原則として水泳は制限しません。プールに入っても入らなくても、結果は変わらないというデータが、数多く出されています。
3)と言うわけで、
長引く中耳炎には、チューブ挿入術もあり。チューブの挿入は、本人がじっとしていられれば、およそ1〜2分で可能です(その前に、麻酔に片側12分かかりますが、麻酔は、鼓膜に麻酔薬を入れて、12分間寝ているだけの麻酔ですので、痛みはありません)。

チューブ挿入後の写真は、こちら→ここをクリック

 C.中耳炎の予防法

 結論から言うと、完全に中耳炎を予防することは、現代医学ではできません。ただ、中耳炎になる確率を減らすことは可能です。

-1)鼻水をすすらない;中耳炎の多くは、鼻から細菌が耳に入って行きます。特に、幼稚園、保育園に通っているお子さんは要注意。日頃の鼻水の管理が、中耳炎の行方を左右します。その昔、よく言われたプールの水が耳に入って中耳炎、というのは、今は殆どありません。プールに入って中耳炎になるのは、多くは、鼻をすすりながらプールに入るから、とお考え下さい。

-2)寒いと悪くなりやすい;急性中耳炎は、冬、特に気温がぐっと下がった数日後に多く発症します。夜、布団をけっ飛ばして寝ているお子さんは要注意。夜は、暖かくしてお休み下さい。また、日中も、特に春先は気温の変化が大きいですから、衣服の着脱をマメに行って下さい。

-3)アレルギー体質の子は中耳炎を併発しやすい;中耳炎は、なぜか、アレルギー体質の患者さんに多く発症します。アレルギー持ちの家系の方は、頭の片隅に入れておきましょう。

-4)遺伝;はっきり証明された訳ではありませんが、両親のいずれか、場合によっては祖父母のいずれかの方が、小さい時に中耳炎で苦労している家系は、中耳炎になりやすいと言われています。これは、予防のしようがないですが、せめて、自分の子孫が中耳炎で苦労しないようにするためには、中耳炎にかかったことのないお相手を見つけて下さい(???)。遺伝子操作がまだ人間にはできない状況下では、ひょっとすると、これが一番の治療法かも(????)。但し、これは、次の世代の方々に対する作戦ですから、すでにこの世に生まれてきてしまった方には、当てはまりませんので、一応、念のため・・・。

 なお、上記以外にも、特に大人の場合には、真珠腫性中耳炎とか、慢性中耳炎などというものもありますが、大人の方は、たぶん、異変があれば、ご自分で医者に足を運ぶと思いますので、まあ、こりゃ変だ、と思ったら、さっさと松井みみはなクリニックにお越し頂くことをお勧めします。痛くないから大丈夫、と思うのは厳禁です!真珠腫性中耳炎などは、痛みはないことの方が多く、場合によっては、めまいがして立っていられなくなります。そうなると、もう手術以外に治す道がなくなってしまいます。そう、めまいも耳鼻科によることがしばしばあります。


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